卸さんからお預かりした、大切な、大切なサンプルの品々。
これまでの人生の中で、飲んだことのあったもの、無かったもの、
見たこともなかったものから
ああぁ、これ、うちのおじいちゃんも良く飲んでたよなぁ～
というものまで、様々な商品をお預かりする。
今まで何気なく、ただ喉を潤すために飲んでいたもの
何でもいいから、何かアルコール類ちょーだいっ！と、そんな軽い気持ちで
ただガブガブ飲んでいたものも、今は改めて、その味と料金を見比べつつ
「この商品は面白いかも」
「このスタイルの飲物はちょっとまだこの地区には早いかな？」
と、１つ１つ吟味してゆく。
街市の中という特殊な中で営業している日本食品店という異色の店で
実際、売っていけるのか。
味さえよければ売れるだろう、高ければ高いほど、人は買う。
そんな香港市街地の公式はここでは通らず
日本食品に触れた経験がない人々にどのようにして売ってゆくか。
そうした事を考えながら、大事に大事に試飲をしてゆく。
食品卸が小売店にサンプルを届ける。そんなの当然やんっ！
と考える方もいらっしゃるかもしれません。
でもね、こだわり緑茶のお話しの時にも少し触れたけど、
今、ここに並んでいるサンプルは、簡単にここに届いたのではなく、
ここに来るまでには長い道のりを経て、そこには当然時間もコストもかかってる。
卸さん側から見てみれば、仕入れてくれるかどうかわからない小売店に
コストをかけて届けるわけで、それは「当然じゃんっ！」と簡単に言うには
ほど遠い、大切な大切な品々なわけですね。
それでも、ビジネスに結びつくかどうかわからない相手に、それだけのコストをかけて
でもサンプルを届ける事って、本当に大切なんだなぁ～と、ワタクシ自身、
今回つくづく学んだのが、上の写真右手にある「しずおかコーラ」
歩ける範囲にスーパーは一軒もなかった。という場所で生まれ育ったせいか
小中学生時代に飲んでいたものと言えば、家にあった麦茶か牛乳。
若かりし頃のワタクシといえば、自力で買い物に行く術がない故
「ソフトドリンク」を飲む機会というのがあまりなかった。
そうこうしているうちに社会人ですよ、酒が飲めますよ、
日本酒ですよ、焼酎ですよ。
それでもって、縁あり、呑み助天国「香港暮らし」の始まりですよ。
日本酒、焼酎に関する知識は自然と増えてゆく一方で
ソフトドリンクとは距離が広がるばかりで、当然それらに関する知識というのは、
それはそれは残念なほど。
自分が知らない部類でビジネス勝負をかけるほど、ワタクシ
度胸が据わっておりませんので、当然、自らオーダーするはずもなく。
ところがですよ、ところがです。
このサンプル品をいただいてから「んっ？コレ、面白いんじゃん！」
と、仕入れてみたところ、その話題性は抜群で
サンプルをいただき、初めての仕入れから3週間。
13ケース、間もなく、完売。
その量、一度に20カートン、30カートン仕入れるであろう大型スーパー
であれば「ぷっ！3週間で13ケースだって、何、お遊びやってんの？」
ってくらいの、はかない量ではございましょうが、
店舗の広さ、ざっと3坪、見栄張って4坪というこの店で、
3週間13ケースってどうだろう、
ここは木村飲料さんに聞いてみなけりゃわかりませんが、
静岡とは何の縁もゆかりもない海外の小売店での坪効見た場合、
ソコソコ、いったんじゃないかと想像しますが、どうですかね。
サンプル品を頂戴しなければ、120％仕入れることはなかったであろう
この「しずおかコーラ」
ビジネスとは本当にわからないもので、そして人間とは本当に身勝手なもので
しずおかコーラの在庫が少ない時の
心もとなさ。
ワタクシ、そんなものまで感じるようになってしまいました。
取りあえず、サンプルを届ける。
取りあえず、試してもらう。
取りあえず、実際、食べてもらう、試飲してもらう、感じてもらう。
基本の基本を改めて見た気がいたします。
しずおかコーラのサンプルを届けてくれた卸さん、ありがとね！
